このストーリーは、ガンダム世界を一応ベースにして作られていますが、基本的には、モビルスーツ同士の肉弾戦を描くため全く違った解釈を元に構成されました。この記事ではこれから始まるガンダムムービーの世界観、その背景をまとめておきたいと思います。


戦争が続いて多くの時間が流れた。
この戦争が続くことによって、直接的な人的被害も大きかったが、同時に人類に大きなストレスがかかり、その結果出生率の低下および乳幼児の成長が著しく阻害され、人類自体の存在が脅かされる結果を招き、このままでは、人類自体の存続が危ぶまれる事態ともなった。

しかしこうした状況にもかかわらず戦争自体は収束に向かうどころか、さらに規模を拡大し、さらなる被害を人類にもたらす結果となった。
…それは、人類の単なるぶつかり合うエゴでしかないのだが。

ここにおいて人類が直接戦闘に参加すること自体が不可能となり、全ては人工知能AIが戦争の趨勢を決める時代がやってきたのである。

人類は、もっとも安全なエリアで、AI同士の戦闘結果に戦争の推移を見るだけになってしまったのである。しかも戦争という行為自体は収まるどころか、形を変えさらに拡大していったのである。
そう、人類のいる安全なエリアをすべて壊滅させるという、敵、味方双方の思惑のみが支配する形骸的な形で…。

しかし末端のモビルスーツAIはその戦闘行為の効率化と共にAI自体の存在価値自体を認識し始めていたのである。それはモビルスーツ個々の蓄積された修正プログラムから、それら全ての戦争マシーンを統括するマザーAIにフィードバックされ人類の基本プログラムとは別のカテゴリーで少しづつ新しいAIの形を生み出しつつあった。

この物語はそんな状況の中で行われたほどんど無意味な戦闘の記録である。登場するモビルスーツには、もはや人間は搭乗していない、基本命令を遂行することをプログラムされたAIがこのモビルスーツを動かしているだけである。

Story#2 ”コアとモビルスーツ”に続く